中小企業・個人事業主のためのAWS想定外請求の防ぎ方 ― 上限を作る5つの方法
クラウドで最も怖いのは、月末に想定の何倍もの請求が来ることです。設定ミス、消し忘れ、不正アクセスのいずれでも起こります。個人事業主・中小企業が現実的に取れる対策を、効果の大きい順に整理します。
なぜ想定外請求が起きるのか
代表的な原因は4つです。①検証で立てたリソースの消し忘れ(特にNAT Gateway、RDS、Elasticsearch)。②無料枠の期限切れに気づかない。③データ転送量(アウトバウンド)の見落とし。④アクセスキーの流出による暗号資産採掘。④は数日で数百万円に達した事例が公表されています。
対策1:予算アラートを必ず設定する
AWS Budgets で月額の予算を設定し、50%・80%・100%到達時にメール通知します。無料で使えます。ただしアラートは「通知」であって「停止」ではありません。気づいてから止めるまでの時間ぶんは課金され続けます。
対策2:アクセスキーを作らない・置かない
想定外請求で最も金額が大きくなるのは鍵の流出です。ローカルにアクセスキーを置かず、IAMロールで権限を渡す運用にします。GitHubへの誤コミットは今も日常的に起きています。やむを得ず発行した場合は、定期的なローテーションと、未使用キーの削除を習慣にしてください。
対策3:MFAを全アカウントで有効にする
ルートアカウントと全IAMユーザーでMFAを有効にします。無料で、効果が最も確実な対策です。
対策4:使わない時間は止める
開発・検証環境は夜間と土日を止めるだけで費用が半分以下になります。EventBridge のスケジュールでEC2・RDSを自動停止できます。
対策5:構造的に上限を作る
ここまでの4つは「気づく」「減らす」対策で、上限そのものは作りません。支払い方法をデポジット(先払いチャージ)にすると、残高を超えて使えないため上限が構造的に生まれます。日本のリセラーの中にはこの方式に対応している事業者があります。予算管理を仕組みで担保したい場合の選択肢になります。
それでも起きてしまったら
不正利用が原因の場合、AWSサポートに申告することで請求が減免されることがあります。まず該当のアクセスキーを無効化し、不審なリソースを停止・削除したうえで、時系列を整理してサポートケースを起票してください。放置して支払うより、必ず申告してください。